【その勘定科目、まずいかも?】銀行は企業の貸借対照表と「勘定科目明細」をこう見ている

こんにちは。
ホンマル株式会社の代表・村松です。
私は元銀行の本部審査部門で2,000社以上の融資審査に携わった後、
現在は主に中小企業・中堅企業向けに融資調達や財務戦略のサポート、財務顧問(社外CFO)を行っています。
今回のテーマは
銀行が企業のBS、つまり貸借対照表と勘定科目明細をどのように見ているのか?
です。
勘定科目明細は、「勘定科目内訳明細書」「勘定科目内訳書」とかって言いますね。
この記事は5分で読めます
- 貸借対照表(BS)を銀行がどう評価しているか
- 銀行が特に注目する危険な勘定科目とは?
- 勘定科目明細の重要性とその役割
- 銀行評価を高めるために意識すべきポイント
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はじめに|銀行は「科目内訳書」をガン見している
銀行と融資取引があると、毎年決算書一式を銀行に提出していますよね。
決算書で一番重視されるのは損益計算書(PL)だと思われがちですが、実は同じくらい銀行は貸借対照表(BS)を重視しています。
そして、その中でも「勘定科目明細(以下、科目内訳書)」は、銀行にとって非常に重要な判断材料となります。
なぜかというと、銀行は貸借対照表を通じて、企業の財務状況を一目で把握し、融資のリスクを計算するからです。
「黒字でも、BSが不安定だと評価が低くなる」というのが銀行審査の現実です。
銀行が「貸借対照表」をどう見ているか
1. 銀行がBSで最初に見るのは「実態」かどうか
銀行が最初に見るのは、「この会社の実態がどうなっているか」です。
色々な見方がありますが、一つの見方として、
損益計算書(PL)は「利益があるかどうか」を示します。
貸借対照表(BS)はその会社がどれだけ「耐えられるか」を示します。
仮に利益が黒字でも、BSの内容が脆弱であれば、銀行はその会社の実力を疑うのです。
例えば、売掛金や在庫が不自然に高い場合、銀行はそれを虚構の資産とみなす可能性が高いです。
2. 重要なのは、「実態純資産」と「実態自己資本比率」
銀行がBSを評価する際には、実態純資産と実態自己資本比率を重視します。
こことっても大事な話で、実態純資産とは、不良資産を控除した後の純粋な自己資本のことです。
銀行はこの指標を見て、「この企業は実際にどれだけ自己資本(=体力)を持っているのか?」を判断します。
銀行がチェックする「危険な勘定科目」とは?
銀行が審査時に特に注目する危険な勘定科目は以下の通りです。
これらの科目が不透明だったり、説明がつかない場合、銀行は非常に厳しい目で評価します。
🚫 1. 貸付金(社長・関係会社への貸付)
問題点
- 貸付金が社長や関係会社に向けて計上されている場合、「会社のお金を私物化している」と見なされやすいです。
- この貸付金があると、銀行はその企業に対して信頼感を持てなくなります。
銀行目線
- 貸付金があると、その会社の資金が不適切に流用されている可能性があるため、融資をすることがリスクと見なされます。
🏧 2. 現金・預金
問題点
- 現金や預金の残高が他行に多く預けられていると、融資をしている銀行からすると「その企業の資金管理が不安定だ」と感じます。
銀行目線
- 銀行は、企業が自行にどれだけ預金をしているかを見ます。
- 他行に多く預金している場合、その会社に対する信頼感が薄れます。
📉 3. 売掛金
問題点
- 売掛金が長期間動かない、または決算期だけ急増している場合、銀行は「実質不良債権」とみなす可能性が高まります。
銀行目線
- 回収不能な売掛金は、企業の本当の資産とは言えません。
- 売掛金が動かない場合、その企業が本当に回収できるか疑問です。
📦 4. 商品・在庫
問題点
- 商品や在庫が過剰に計上されると、利益が過大に計上されるリスクがあります。
銀行目線
- 銀行は売上や仕入れの伸びに比べて、在庫の急増を粉飾の兆候として疑います。
※粉飾する際によく「在庫」がいじられます。 - 在庫の水増しが利益をかさ増ししている場合、実際の財務状態が反映されていないと判断されます。
⏭️ 5. 前払費用
問題点
- 前払費用として計上された金額が実際にはすでに提供されているサービスに関する費用だと、赤字を隠すために来期に費用を飛ばしていると見なされることがあります。
銀行目線
- 銀行は「赤字隠し」を警戒し、前払費用の詳細をしっかり確認します。
❓ 6. 仮払金
問題点
- 仮払金は、中身が不明な支出として疑われやすい科目です。
銀行目線
- 銀行は仮払金が何に使われたのかを細かく確認し、不明な支出が多い企業には不信感を抱きます。
銀行評価を上げるために意識するべきこと
1. 怪しい科目を放置しない
貸付金や売掛金、在庫などの危険な科目は、必ず整理しておきましょう。
銀行に説明できる状態で科目内訳書を作成し、不明点がないようにしましょう。
2. 科目内訳書を詳細に作成する
科目内訳書は、単なる添付資料ではありません。
銀行は、科目ごとの詳細な内訳を見て、企業の実態を確認します。
詳細な内訳書を作成することで、銀行からの信頼を得ることができます。
顧問税理士さんにも協力を得ましょう。
3. 社長の説明と数字を一致させる
社長が数字を説明するとき、決算書と食い違いがないようにしておくことが大切です。
銀行は数字の整合性に厳しく、説明と数字が一致しないと信用されません。
まとめ|銀行に評価されるBSにするために

銀行は、企業の貸借対照表(BS)を見て、その企業の実態を非常に厳密に評価しています。
利益が出ていても、BSに不安定な要素が多いと、融資が通らない可能性があります。
銀行から評価されるためには、不良資産の整理と、詳細な内訳書の作成が必須です。
また、社長がどれだけ透明性を持って財務状況を説明できるかも、銀行審査に大きな影響を与えます。
次回は、「損益計算書(PL)」編で、銀行が特に注目する項目を解説します。お楽しみに!
最後に、この記事を実際に銀行に提出する前に再確認し、
あなたの“本当の自己資本比率”を見直してみてください。
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参考記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
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