
AIで融資審査しているの?元銀行審査官が語る“AI時代の融資対策”
こんにちは、ホンマル株式会社の代表・村松です。
私は元銀行の本部審査部門で2,000社以上の融資審査に携わった後、現在は中小企業向けに融資調達や財務戦略のサポート、社外CFOを行っています。
この記事は7分で読めます
最近、「◯◯銀行、生成AIを使って融資審査を効率化」みたいな新聞記事やネット記事を見る機会が増えました。
聞こえは近未来的で頼もしそうですが、果たして実際にどの程度役に立っているのでしょうか?
「AIに融資を断られたらどうしよう…」と不安になる経営者もいれば、
「AIに見られるなら粉飾はすぐバレそうだな」と冷や汗をかく方もいるかもしれません。
この記事では、銀行本部の審査部門で2,000社以上を見てきた立場から、AI審査の実態と限界、そして今からできる備えを独断でお伝えします。
- 現状のAI審査は“補助ツール”に過ぎない
- 強みは「効率化」と「モニタリング」、弱点は「人間的な判断」
- プロパー融資とビジネスローンではAI活用の度合いが違う
- 経営者に必要なのは「AIに強い数字」と「人に響くストーリー」
- 将来はAIが“決裁”する時代が来るかもしれない
元銀行員×融資審査の中枢にて2,000社以上の企業融資を担当してきたプロが、融資調達のサポートします。
特に1,000万円〜数億円規模の高額融資調達に強みを持ち、豊富な経験と知識を活かして、銀行との交渉や資料作成をサポート。
スムーズに、より好条件の融資調達を果たします。
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1. 銀行がAIを導入する背景
銀行は金融庁から「事業性評価融資を重視せよ」と求められています。
「事業性評価」というのは、ここ10年ほどで銀行融資の世界で特に重視されてきたキーワードで、財務データだけではなく、その会社の事業の将来性や経営者の力量を評価して融資判断に反映することを指します。
- 財務評価:過去の数字(決算書や格付け)を基に「今の体力」を測る
- 事業性評価:未来の可能性(ビジョンや戦略)を基に「伸びしろ」を測る
両輪で見て初めて「貸せるかどうか」が判断されます。
実際の銀行審査では、財務評価がベースにあり、そこに事業性評価を上乗せするイメージです。
「数字はちょっと弱いけど、事業の将来性は高い」
こう判断できれば、融資が通る可能性も高まります。
逆に、「数字は良いけど事業性に不安あり」と見られると、今後の追加融資に慎重になるケースもあります。
とはいえ現場は人手不足、しかもローンの利ざやは薄い。
「少しでも効率化しないと現場が回らない!」
そんな切実な事情から、AIが導入され始めました。
- 決算データを一瞬で格付けに変換
- 預金口座の入出金をリアルタイム分析
- 反社チェックやニュース検索も自動化
関連記事(ぜひ):【経営者必見】「事前の一手は、事後の百手に勝る」――元銀行員が語る“経営判断の質”を高める思考とは?
2. 実際に融資審査でAIが活躍している場面
AIが得意なのは、パターン認識と大量処理です。
- 財務スコアリング:決算書を読み込み、瞬時に格付け
- モニタリング:資金ショートの予兆をキャッチ
- ニュース検知:不祥事やネガティブ報道を即座に反映
人間だと見落とすなんてこともありますが、AIは24時間働き続けてくれます。
3. ただしAIの苦手分野
AIにも“穴”があります。
- 新規事業や前例のないケース
過去データがないと判断できず、「???」と沈黙。 - 経営者の人柄や覚悟
たとえば社長の「背中のオーラ」や「語る熱量」は数字化できません。 - 地域特性やネットワーク
「この業界で○○さんと組んでいるなら安心」という感覚はAIには伝わりません。
要するに、人間が“肌感覚”で判断している部分は、まだ人間にしかできないのです。
おすすめ記事:【チェックリスト有】資金調達に戦略は必要?金融のプロが徹底解説!
4. 忖度なしの評価|AI融資審査
結論から言うと
「AI審査、まだ補助ツールです」。
現場でも、「AIのスコアは低いけど、この社長なら返す力がある」と判断して融資が通るケースは少なくありません。
逆にAIが高評価でも、「経営者が頼りない」と判断されれば融資は見送られます。
つまり今はまだ、“AIより人間の目”が最終判断を握っているのです。
5. プロパー融資とビジネスローンの違い|AI融資審査
ここで誤解が生まれやすいのが「AI審査=すべての融資」と思われがちな点です。
- プロパー融資(銀行融資)
金利は低い → 銀行にとって収益性が低い → 慎重に判断したい → AIは補助的 - ビジネスローンやノンバンク融資
金利は高い → 高収益 → 不良債権化を前提に効率重視 → AIで大部分を審査
つまり、「AIが大部分の審査やってます!」とアピールしているのは、主にビジネスローン系。
銀行のプロパー融資ではまだまだ人の判断が主役です。
6. 経営者が備えるべきこと|AI融資審査
AI時代だからこそ、経営者に求められる準備は次の3つです。
① 数字の整備
AIは数字を信じ切る傾向があるので、矛盾はアウト。
- 決算書は正確に
- 資金繰り表も論理的に
「AIに粉飾を見抜かれる日」は、意外とすぐそこです。
② ストーリーの準備
人間には数字よりも「納得感」が効きます。
- 投資の理由
- 返済の道筋
- 社長の覚悟
これを自分の言葉+資料で説明できれば、AIスコアを覆すことも可能です。
③ 情報発信の習慣化
AIは外部データも参照します。ようはWEB上のプレゼンス(存在感・信頼感・影響力)です。
プレスリリース、HP更新、顧客事例の発信は、じわじわと評価に効いてきます。
おすすめ記事:【2025年最新】銀行審査は“ここで決まる”!融資を通す3つのポイントを元審査官が公開
7. 銀行にとってのAI活用の副作用(プラス面)
「結局AIは補助か」と思うかもしれませんが、実は銀行全体にとっては大きなプラスもあります。
AIで効率化した分、銀行員は「事業性評価」にリソースを振り向けられるようになっています。
つまり
“将来性ある企業を深く評価できる仕組み”が整いつつある。
結果として、きちんと準備をしている企業はますます評価されやすくなるのです。
「事業性評価」というのは、ここ10年ほどで銀行融資の世界で特に重視されてきたキーワードで、財務データだけではなく、その会社の事業の将来性や経営者の力量を評価して融資判断に反映することを指します。
- 財務評価:過去の数字(決算書や格付け)を基に「今の体力」を測る
- 事業性評価:未来の可能性(ビジョンや戦略)を基に「伸びしろ」を測る
両輪で見て初めて「貸せるかどうか」が判断されます。
実際の銀行審査では、財務評価がベースにあり、そこに事業性評価を上乗せするイメージです。
「数字はちょっと弱いけど、事業の将来性は高い」
こう判断できれば、融資が通る可能性も高まります。
逆に、「数字は良いけど事業性に不安あり」と見られると、今後の追加融資に慎重になるケースもあります。
8. 5年後・10年後の未来|AI融資審査
ここからが一番面白いところ。
現時点ではAIは補助的ですが、ChatGPTのような生成AIの進化は、人類の予想を超えるスピードです。
もしかしたら5年後、10年後、いやもっと早く、AIが「決裁」まで担う日が来るかもしれません。
「え?銀行支店に行ったら受付は全部AI。融資の稟議もAI。最後に人間はハンコ(…)だけ押すのか」
そんな世界も笑い話では済まないかもしれません。
まとめ:結局は「事前の一手が事後の百手に勝る」

- 銀行のプロパー融資におけるAI審査は、今のところ補助的な役割にすぎない
- しかし効率化によって銀行は“事業性評価”にリソースを注ぎやすくなっている
- 経営者は「AIに映える数字」と「人に響く説明力」を両立させるべき
- 将来的にはAIが決裁する時代が来るかもしれない??
- だからこそ今のうちから、財務の透明性と経営ストーリーを磨いておくことが最重要
銀行とAIの関係は、まだ発展途上。
ただひとつ確実に言えるのは
「準備している経営者が一番得をする」という点は昔も今も未来も変わらないということです。
参考記事:【経営者必見】「事前の一手は、事後の百手に勝る」ーー元銀行員が語る“経営判断の質”を高める思考とは?
最後に
著者は約2年前に銀行を退職しました。
そのときはまだ、ほんの一部の業務での活用でしたが、複数の銀行にヒアリングしたところ、進歩がものすごいようです。
バックオフィス部門(マネロン対策等)と実際の営業場面(潜在ニーズ顧客のリストアップ等)とで様々な活用事例があるようです。
AI時代、AIに対して斜に構えず、積極的にAIを使いつつ事業を成功させたいですね。
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https://www.honmaru.jp/contact
参考記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
- ✅ 対応地域:全国OK(Zoom・電話対応可能)
- ✅ 推奨の対象企業:年商3億円以上、設立5年以上の中小企業さま(もちろん年商規模が3億円以下でも可能です)
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銀行員経験のある方は、ぜひ他の記事やYouTube動画もチェックしていただき、ご連絡いただけると嬉しいです。


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