宋世羅さんの“補欠論”が刺さったので、財務コンサル目線で語ります

宋世羅さんの“補欠論”が刺さったので、財務コンサル目線で語ります

この記事は約7分で読めます。

※はじめに:この記事は普段の記事のテイストと異なります。

【第1章】宋世羅さんの「補欠論」から感じたこと

銀行融資の「裏技」とは?見えない信頼づくりが実はカギ

先日、あるYouTube動画がオススメに載っており、ついクリックしてみた。

タイトルは──
「補欠という恐ろしい制度について。」

配信者は、登録者数約50万人(2025年8月現在)、元野村證券マンでありながらも「補欠人生だった」と自らを語る、宋世羅さん。

一見すると、部活論か人生論かといった雰囲気だが、私はその動画の20分弱を観終えたあと、

「これ、経営にもめちゃくちゃ通じる話では?」と膝を打っていた。

というわけでこの記事は、あの動画を観て感じたことを、

若干強引ではあるが「財務戦略・銀行融資」の観点から読み解いてみる試みである。

そのうちの一部は、私自身が地方銀行の審査部門に在籍していた頃に感じていた“経営者の空気”にも深く重なる。

宋さんの動画で繰り返されていた言葉がある。
それは──

「レギュラーでやってなんぼ」

補欠として何年も耐えることは、確かに美徳とされている。

そして、そこから得られる反骨心や共感力もある。

だがそれでも、「ずっと補欠のままでいい」とは、彼自身が絶対に言っていない。

むしろ、「補欠を経験したことのある人間だからこそ、自覚的にレギュラーを目指すべきだ」と。

彼の言う“補欠”は、単なる部活の話ではない。

会社員としての仕事、そして大人になってからの社会での立ち位置全体を指している。

そしてこれがまさに、私が日々接している中小企業経営者にも、強く当てはまるのではないかと感じたのだ。

【第2章】経営者にも潜む“補欠マインド”

「節税すると融資を受けにくい」は本当なのか?

経営者は、間違いなく会社というチームの“監督”であり“主将”である。

だが、私が実際に融資支援や財務アドバイスをしている中で、時折、「この方、今はまだ“補欠マインド”に留まっているな」と感じることがある。

たとえば・・・

  • 「銀行から“借りられる額”で判断してます」
  • 「税理士さんに言われたのでそのままにしてます」
  • 「前回もうまくいったので今回も同じ感じで…」

これらの言葉に共通するのは、「自分が試合に出ていない」姿勢だ。

もちろん、全員が全員そうというわけではない。
むしろ、経営者の大半は誰よりも責任を背負っているし、努力をしている。

だが、“財務”や“資金調達”という分野においては、どうしても専門外という意識から「委ねすぎる」傾向がある。

このとき、社長は知らず知らずのうちに「補欠席」に座ってしまっているのだ。

補欠マインドのままでいると、思考が受け身になる。

  • 銀行の提案をそのまま飲む
  • 補助金があると聞いて急いで申し込むが、全体の資金計画は曖昧
  • 融資が否決されても「ダメだった」とだけ報告して終わる

これは、まさに“観戦者”のスタンスだ。

逆に、レギュラー経営者はこう言う。

  • 「この事業に必要な資金は◯円。そのためにこの収支計画で勝負する」
  • 「この銀行はこういう見方をしてくる。だから◯◯資料を準備した」
  • 「否決理由を分析して、次の一手は◯◯を整備することだと思っている」

つまり、試合に出て、プレイして、点を取りに行っている。

財務というフィールドにおいて、“自分の足”で動いているのだ。


補欠が悪いわけではない。

補欠の時期があるのは、誰にでもある。

でも、問題は「補欠であることに無自覚なまま、年単位でその席に留まってしまうこと」だ。

宋世羅さんも動画内で言っていた。

「補欠からレギュラーを目指して頑張る努力は素晴らしい。でも、5年10年補欠のままで“まだ頑張ってます”は、ちょっと違う」

この言葉、まさに中小企業経営の現場にも響くのではないか。

補欠マインドのまま、銀行との交渉も、投資判断も、事業戦略も「様子見」で進める。

そのまま数年が経つ──。

それは本当に“戦っている”と言えるのだろうか。

【第3章】融資の現場で見える「レギュラー経営者」との差

税理士やコンサルに任せきりで大丈夫?助言の質が資金調達を左右する

私はこれまで、地方銀行の審査部門で2,000社以上の融資案件を審査してきました。

今は外部財務パートナーとして、融資支援や財務戦略の伴走をする立場ですが、

その中で痛感するのが、「レギュラー経営者」はやはり審査で一目置かれるということです。

「補欠経営者」と「レギュラー経営者」は、こんなところで違う

シーン補欠マインド経営者レギュラー感覚経営者
融資相談「いくら借りられますか?」「いくら必要か」から逆算して説明
提出資料税理士が作った決算書だけ事業計画・資金繰り表・改善資料が揃っている
融資否決後「ダメでした」否決理由を分析し、次の戦略を立てる
銀行との関係性銀行にお願い・依存銀行と“共に戦う”姿勢を持っている

補欠経営者は、言ってしまえば「結果を待つ側」なんですよね。

たとえば税理士や営業担当が準備した書類をそのまま持って行って、銀行の反応を伺う。

結果が悪ければ、「まあ仕方ない」で終わってしまう。

一方で、レギュラー経営者は違います。

彼らは自分のビジョンと戦略を語り、銀行に“伝える”努力をします。

審査する立場だった私は、そういう社長と会ったとき、

「この人は、この融資を“勝ち取りに”来ている」と感じました。

それは一種の迫力です。

レギュラー経営者に共通する“資料力”

特に印象的だったのは、ある製造業の経営者です。

決算内容はまだ改善途上で、数字だけ見ればグレーゾーン。

でも、その社長は事業の再構築プランをA3の紙1枚にまとめ、

未来の売上構成と利益水準、コスト削減策までロジックで説明してくれました。

結果、稟議書には「業況は改善基調。社長の手腕と実行力に期待」と明記され、融資は通過しました。

つまり、銀行にとっての“レギュラー感”とは、数字以上に“主体性と説明力”で判断されることもあるのです。

✅ 詳しく知りたい方は当社YouTubeチャンネルでも解説中! 📺【元銀行審査官ムラマツ|銀行攻略ラボ】

参考記事:銀行・信金に決算書を提出するときの注意点7選|資金繰り表・3年計画で“未来”も見せる

【第4章】自分が“出場する”覚悟はあるか?

資金調達を外部のプロに依頼するメリット3つ

補欠でいることに、慣れてしまっていませんか?

ここでいう“出場する”とは、会社の財務を、他人任せにせず、自ら舵を取ることです。

もちろん最初は分からないことだらけです。私自身、銀行の本部にいた頃も、経営者側の苦労を理解できていませんでした。

でもだからこそ、言いたいのです。

補欠からレギュラーになる3つの道

  1. 現状を正しく認識する
     → 自社は今、補欠なのか?財務を“自分ごと”にしているか?
  2. 環境を変える勇気を持つ
     → 銀行やパートナー、使っているツール、助言者を見直す。
  3. 自分のポジションを奪いに行く
     → 目の前の資金調達でも、戦略投資でも、自分の意思で判断と行動を。

「レギュラーを奪いに行く」ために最も効果的なこと

それは、適切な伴走者を持つことです。

サッカーでいうなら、「監督兼エースストライカー」だけでやるのは無理がある。

だからこそ、外部CFOや財務のプロを味方にする。

これは“任せる”のではなく、“一緒に戦う”ための選択です。

その瞬間から、あなたはすでに「補欠席」を立ち、試合に向けて動き出しているのです。

※関連記事:【経営者必見】「事前の一手は、事後の百手に勝る」ーー元銀行員が語る“経営判断の質”を高める思考とは?

【第5章】レギュラー感覚を持つための3ステップ

資金調達を外部のプロに依頼するメリット3つ

補欠マインドから脱却し、レギュラーとして“経営の中枢”で戦っていくために、

中小企業経営者がまず着手すべきは、「財務との距離を縮めること」です。

そのためのステップは、実はシンプルです。

Step1|理解する:「数字アレルギー」を捨てる

最初の一歩は「知ろうとすること」です。

財務に苦手意識を持つ社長は少なくありません。

でも、“わからないから税理士に任せている”という状態では、銀行の評価はついてきません。

  • PL・BS・CFの違いをざっくりでも掴む。
  • 自己資本比率って何%なら健全?利益剰余金ってどんな意味?

こういった基本的な数字が「経営の言語」になるのです。

大丈夫、会計士レベルの理解など不要です。

私たちが横で翻訳すればいいだけの話です。

まずは“知る意思”を持つこと。それが最初の一歩です。

Step2|設計する:「見せる戦略」を持つ

理解したら、次にやるべきは“可視化”です。

融資を申し込むとき、銀行は決算書の数値だけを見て判断しているわけではありません。

むしろ、“これからどうなるのか”を見たいのです。

だからこそ、事業計画書、収支予測、資金繰り表、組織図…

これらを「戦略として」設計し、“見せる形”にすることが極めて重要。

資料がある会社は、それだけで「レギュラー意識のある経営者だ」と伝わります。

補欠的経営者は、“資料がない”のではなく、“出そうとしない”のです。

Step3|動かす:「資金調達は“交渉”である」

最後は“行動”です。

補欠マインドのままだと、銀行からの提案や金利条件をそのまま受け入れてしまいがちです。

でも、レギュラーは違います。情報を集め、交渉し、条件を引き出します。

たとえば、プロパー融資を打診する、借換タイミングを図る、新規行の紹介を検討する…。

財務を“動かす”感覚を持つこと。

これが経営者としての“試合に出る”ということなのです。

【第6章】無理やりまとめ:試合に出てなんぼ、という話

宋世羅さんの動画「補欠という恐ろしい制度について。」は、
私にとって、学生時代や仕事の現場で何度も感じていた違和感を、言語化してくれるものでした。

そしてそれを、私は“財務を通じた経営”にも通じる本質だと感じました。

レギュラーでやってなんぼ

たしかに、補欠で努力することには意味があります。

耐えることにも価値がある。

でも、それを「ずっとやってる」のは、違う。

同じように、財務に触れず、資金調達を丸投げし、銀行交渉に受け身でいるまま、何年も経営していくことは、

会社としての“試合に出ていない”状態です。

経営者がすべきは、

  • 「自社の試合に、きちんと出場すること」
  • 「財務というゲームで、レギュラーとしてプレーすること」

そのために、私たちは“補欠脱出の伴走者”でありたいと考えています。

最後に一言:これは、財務の話であり、人生の話です。

誰でも補欠だった時期はある。

でも、あなたが補欠のままで終わる必要はない。

自分の戦うべきフィールドを選び、仲間を得て、覚悟を持ってプレーする。

そうすれば、必ず“レギュラー”は取れます。

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この記事を書いた人

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代表コンサルタント・村松

銀行・本部審査部門にて2,000社以上の企業融資に携わってきたキャリアを持つ代表コンサルタント。銀行の融資営業・審査業務の両方の実務経験。豊富な知見を活かし「お客様の結果(銀行からの融資調達)にコミット」できます。経営者の方々の、事業繁栄につながる情報を発信します。