高市政権×チャイナリスクで銀行融資はどう変わる?
中小企業が今すぐ見直すべき3つのポイント

こんにちは。
ホンマル株式会社の代表・村松です。
私は元銀行の本部審査部門で2,000社以上の融資審査に携わった後、現在は主に中小企業・中堅企業向けに融資調達や財務戦略のサポート、財務顧問(社外CFO)を行っています。
今回の記事は「高市政権×チャイナリスク(中国リスク)で銀行融資はどう変わるか?」について解説します。
※2025年11月18日午前中に執筆した記事です。
この記事は9分で読めます
- 高市首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との発言を受け、中国政府は日本への渡航自粛を呼びかけるなど、日中関係は再び緊張局面にあります。
※参照記事:Reuters Japan - 銀行は、中小企業の「中国依存度」「サプライチェーン」「キャッシュフロー耐久力」をこれまで以上にシビアに見る可能性があります。
- 中国向け売上やインバウンド需要、仕入れ依存がある企業ほど、決算説明資料や事業計画書で「リスクと対策」を言語化しておくことが重要です。
- 地政学リスクが高まる局面では、「資金調達の前倒し」「借入ポートフォリオの見直し」「銀行との対話の質」を上げることが、経営を守る最大の防御になります。
- 当社(ホンマル株式会社)では、大口融資調達サポートと社外CFO(財務顧問)として、こうしたリスク環境下での銀行対応・資金調達を一緒に設計しています。
元銀行員×融資審査の中枢にて2,000社以上の企業融資を担当してきたプロが、融資調達のサポートします。
特に1,000万円〜数億円規模の高額融資調達に強みを持ち、豊富な経験と知識を活かして、銀行との交渉や資料作成をサポート。
スムーズに、より好条件の融資調達を果たします。
関連記事(こちらもぜひ):銀行がプロパー融資を提案してくる会社こそ「社外CFO」を入れるべき理由とは?
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いま何が起きているのか(ざっくり)
まず、ニュースを追えていない方のために、ざっくり整理します。
- 11月7日の国会で、高市首相が
「中国が台湾に武力行使し、米軍が来援するような事態は、日本の存立危機事態になり得る」
という趣旨の答弁をしました。東洋経済オンライン - これに対して、中国政府・中国外務省は「強い不満と断固反対」を表明し、日本側に強く抗議。
- さらに、中国政府は自国民に対し「当面、日本への渡航を控えるように」と注意喚起を行い、日本留学についても慎重な判断を求めています。
試算では、中国からの訪日自粛が続くと、観光などへの影響額は2兆2000億円規模になり得るとの報道も出ています。スポニチ Sponichi Annex
こうした一連の流れは、ニュース的には「外交」「安全保障」の話に見えますが、銀行融資の現場では「地政学リスク」として、中小企業の与信判断にじわじわ影響してくるテーマです。
銀行は何を気にし始めるのか?3つの視点
元銀行本部審査部門の感覚で言うと、今回のような日中関係の緊張が続くとき、銀行が見直すポイントは大きく3つです。
1.売上・利益の「中国依存度」
直接・間接を問わず、次のような企業は要注意です。
- 中国向け輸出比率が高い製造業・商社
- 中国工場(委託生産含む)からの仕入れ比率が高い企業
- 訪日中国人観光客の売上比率が高めの
- ホテル・旅館・インバウンド向け小売
- 免税店・ドラッグストア
- 都市部の飲食・商業施設テナントなど
銀行の審査目線でいうと、稟議書にはこんな一文が入りやすくなります。
「同社売上のうち、中国人観光客向け○○%、中国向け輸出○○%と、中国需要への依存度が一定程度存在。
今後の日中関係の動向如何によっては収益変動リスクがある点に留意が必要。」
「だから即NG」という話ではありませんが、
“中国にどれくらい依存している会社なのか”を、銀行は以前より丁寧に見てくると考えた方が自然です。
2.サプライチェーンと在庫リスク
もう一つ、銀行が気にするのは「モノの流れが止まらないか」です。
- 主要部材を中国から輸入している
- 特定の中国メーカーに技術的にロックインされている
- 代替サプライヤー候補がほとんどない
こういう場合、「輸入が止まったら売上も止まるのでは?」という見方をされやすくなります。
銀行がチェックしたいポイントは例えばこんなところです。
- 代替調達先(中国以外・国内)の有無
- どのくらいの在庫日数を持っているのか
- 価格高騰時に、販売価格へどの程度転嫁できるビジネスモデルか
ここを経営者が説明できないと、「地政学リスクに対する感度が低い企業」という評価になりかねません。
3.キャッシュフローと「耐久力」
最後は、結局ここに行き着きます。
- 中国からの渡航自粛でインバウンド売上が一時的に落ちるかもしれない
- 物流・部材価格が動きやすくなるかもしれない
- 為替・金利が揺れやすい局面が続くかもしれない
こうした環境下で、銀行が見るのは
- 売上が▲▲%落ちても、何ヶ月資金繰りが持つか
- 既存借入の元利返済が、キャッシュフローでどの程度カバーできるか(DSCR)
- 緊急時に、追加融資・当座貸越枠でどこまで耐えられるか
という「耐久力」です。
言い換えると、「中国・地政学リスクのニュースを見ても、昼寝していられるキャッシュフローか?」
ここを銀行は冷静に見ています。
中小企業が今すぐやっておきたい3つのアクション
ここからが本題です。
「じゃあ、中小企業として何をしておけばいいの?」というところを、三点に絞りご説明します。
アクション① 自社の「中国・地政学リスク」を棚卸しする
まずは、数字で状況を把握することです。
ざっくりで良いので、次のようなチェックをしてみてください。
- 直近1年間の売上のうち
- 中国向け輸出売上 : ○%
- 訪日中国人(インバウンド)関連売上 : ○%
- 仕入・外注費のうち、中国からの調達比率 : ○%
- 中国に拠点(工場・事務所・代理店など)を持っているか
- 中国に売掛金・投資残高などがどの程度あるか
- もし 売上▲20% のショックが1年間続いたら、
- キャッシュは何ヶ月持つのか
- どの経費をどの順番で削るか
ここまで整理できていれば、銀行側としては
「社長は自社の中国リスクをちゃんと把握しているな」
という安心材料になります。
逆に、「なんとなく中国リスクが怖いよね…」というフワッとした話だけでは、審査の机上では“評価しようがない”のが本音です。
アクション② 決算説明資料・事業計画に「リスクと対策」を書き込む
当社が銀行向けの決算説明資料を作るとき入れるのが
「環境変化に対するリスク」と「それに対する対応方針」
のページです。
今回で言えば、例えばこんな書き方が考えられます。
- 中国人観光客向け売上は全体の○%にとどまり、国内需要向け売上の伸長により依存度は低下傾向。
- 中国からの仕入れについては、既に一部を東南アジア・国内仕入れにシフト済み。
さらに2026年までに、中国依存度を○%→○%へ低下させる計画。 - 売上が一時的に▲20%となるストレスシナリオでも、経費削減・設備投資の先送りにより、DSCR1.0倍以上を確保できる試算。
こうした内容が、決算説明資料・事業計画書に書いてあると、銀行本部の融資審査部は非常に評価しやすくなります。
ポイントは、
- 「地政学リスクをゼロにします」とは言わない
- でも、「リスクを認識し、その上で打ち手を考えています」と示す
このバランスです。
アクション③ 資金調達の「前倒し」と借入ポートフォリオを見直す
地政学リスクが高まる局面では、資金調達の“タイミング”が結果を分けます。
1)必要になってからでは遅い
- 売上が落ちてから
- 在庫が積み上がってから
- 赤字が出てから
慌てて銀行に駆け込むと、審査はどうしても厳しくなります。
逆に、
- まだ業績が比較的安定しているうちに
- 「こういうリスクがあるので、手元流動性を厚めにしておきたい」
という形で、一歩早く相談しておく方が通りやすいのが融資の世界です。
2)借入の“ポートフォリオ”を意識する
今回のような局面では、次のような見直しも検討の余地があります。
- 短期借入金・当座貸越に偏っていないか
- 償還期間が短すぎて、毎年の返済が重くなっていないか
- メインバンク以外との関係が、極端に薄くなっていないか
「金利の安さ」だけでなく、「ストレスがかかったときに守ってくれる借り方か?」
という観点で、借入全体を見直しておくことをおすすめします。
※あわせて読みたい → ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
こんな企業こそ、今のうちに動いた方がいい
少し具体的に、危険信号になりやすいパターンを挙げておきます。
- コロナ後の数年間、インバウンド需要にかなり頼って売上を伸ばしてきた企業
- ホテル・旅館・観光業・免税店・ドラッグストアなど
- 中国からの輸入比率が高いのに、代替調達先がほぼ検討されていない企業
- 設備投資や新規出店を、ほぼ短期借入・リスケ前提で回している企業
- メインバンク以外と、ほとんど付き合いがなく、実質“単独行取引”になっている企業
こうした企業は、環境が変わるときに一気に資金繰りが苦しくなりやすいタイプです。
もちろん
「うちは中国と直接取引がないから大丈夫」
という企業も多いと思いますが、その場合でも、
- 取引先が中国依存していないか
- 地域経済がインバウンドに依存していないか
といった「二次的な影響」を見ておく価値はあります。
※おすすめ記事:【2025年最新】銀行審査は“ここで決まる”!融資を通す3つのポイントを元審査官が公開
ホンマル株式会社がサポートできること
最後に、ホンマル株式会社としてお手伝いできることを、少しだけ。
1.スポットでの「大口融資調達サポート」
- 1億円〜数十億円規模の設備資金・運転資金
- 既存借入の借換・リスケを含む資金繰り再構築
- 銀行数行を巻き込んだ協調融資 など
に対して、
- 銀行が納得するストーリー作り
- 決算説明資料・事業計画・返済計画の作成支援
- 金融機関との面談同席・交渉サポート
を行っています。
今回のような「高市政権×中国リスク」のようなテーマは、銀行の審査部からすると、まさに“気になるけれど、数字で語ってほしい領域”です。
元銀行本部審査官として、「どこまで書けば安心されるのか」「どこを突っ込まれやすいのか」を踏まえた資料作成を行います。
参考記事: 資金調達の成功報酬(成果報酬・手数料)の相場は一体どのくらい?元銀行員のプロが解説!
2.中長期で伴走する「社外CFO(財務顧問)」
もう一つは、毎月の顧問料をいただく社外CFOサービス(財務顧問)です。
- 半年〜1年かけて、借入ポートフォリオと資金繰りを再設計
- 地政学リスクを含めた、「守りと攻め」の両方の財務戦略を一緒に考える
- 銀行との定例ミーティングに同席し、“金融機関との通訳”の役割を担う
「銀行融資はその都度スポットで相談する」のではなく、「財務責任者を外部に置く」イメージに近いサービスです。
おすすめ記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
まとめ|政治ニュースを「自社の融資戦略・財務戦略」に落とし込む

最後に、ポイントを一言でまとめると、
政治・外交のニュースを見たときに、
「自社の貸借対照表と資金繰りの話に落とし込めるかどうか」
が、これからの中小企業経営者にとって大きな差になります。
- 高市政権と中国共産党との軋轢が、
明日すぐに自社の売上を▲50%にするわけではありません。 - しかし、銀行の審査目線・リスク許容度には確実に影響してきます。
だからこそ、
- 自社の中国・地政学リスクを棚卸しし
- 数字で耐久力を把握し
- 銀行に伝わる形で資料に落とし込む
この3ステップを、“今のうちに”やっておくかどうかが、数年後の資金繰りの差につながってきます。
最後に|お問い合わせのご案内
- 「うちのチャイナリスクを一度整理してほしい」
- 「今回の件を踏まえて、銀行にどう説明すべきか一緒に考えてほしい」
- 「地政学リスクも含めて、中長期の借入戦略を設計したい」
と感じられた方は、当社お問い合わせフォームから、「チャイナリスク(中国リスク)×銀行融資の記事を見た」と添えてお気軽にご相談ください。
スポットでの大口融資調達サポートも、中長期の社外CFO(財務顧問)契約も、御社の状況に合わせてご提案させていただきます。
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参考記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
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