保険代理店の社長へ。
利益は出ているのに、なぜ銀行融資の反応が鈍いのか

こんにちは。
ホンマル株式会社の代表・村松です。
私は元銀行の本部審査部門で2,000社以上の融資審査に携わった後、
現在は主に中小企業・中堅企業向けに融資調達や財務戦略のサポート、財務顧問(社外CFO)を行っています。
「うちは赤字でもないし、資金繰りもそこまで悪くない。
でも、銀行に融資の相談をすると、なぜか反応が鈍い。」
保険代理店の経営者の方とお話していると、こうした悩みは意外と多いです。
しかも厄介なのは、社長ご本人としては「そこまで悪い状況ではない」という感覚があることです。
だからこそ、
なぜ借りにくいのか分からない。
何が足りないのか見えない。
そんなモヤモヤが残りやすいんですね。
実はこれ、業績が悪いからというより、保険代理店という業種特有の“見えにくさ”が原因になっていることがよくあります。
この記事では、元銀行審査官の視点から、その理由をわかりやすく整理していきます。
この記事は8分で読めます
- 保険代理店は、構造的に見ればそこまで資金繰りが悪い業種ではありません
- それでも銀行融資で苦戦しやすいのは、資金使途の説明が難しいからです
- 銀行は、売上の大きさだけでなく「売上の中身」や「利益の残り方」を見ています
- 保険代理店は「借りにくい業種」というより、「説明をミスりやすい業種」です
- だからこそ、財務顧問や社外CFOとの相性が良い業種でもあります
元銀行員×融資審査の中枢にて2,000社以上の企業融資を担当してきたプロが、融資調達のサポートします。
特に1,000万円〜数億円規模の高額融資調達に強みを持ち、豊富な経験と知識を活かして、銀行との交渉や資料作成をサポート。
スムーズに、より好条件の融資調達を果たします。
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そもそも「保険代理店」と一言で言っても、色々あります
まず、ここを最初に整理しておきます。
「保険代理店」と聞くと、なんとなく同じ業種に見えますが、実際はかなり幅があります。
たとえば、
- 来店型の保険ショップ
- 営業担当が訪問して契約を取る代理店
- 法人向けを中心にしている代理店
- 企業グループの中で保険を扱う会社
- 本業は別にあって、保険を付帯的に扱っている会社
など、実態はかなりバラバラです。
つまり、同じ「保険代理店」という言葉でも、売上の作り方も、コスト構造も、銀行の見え方も違うということです。
この記事で主に想定しているのは、
- 生命保険・損害保険・乗合などを扱い、保険会社からの手数料収入が売上の中心になっている専業または準専業の代理店です。
もっとシンプルに言えば、
- “保険を販売すること自体が、ちゃんと会社の主力事業になっている代理店”
です。
この前提で話を進めます。
保険代理店は、資金繰りが悪い業種なのか?
ここは、結構誤解されやすいポイントです。
結論から言うと、私は保険代理店は構造的にそこまで資金繰りが悪い業種ではないと考えています。
なぜか。
理由はシンプルです。
一般的な製造業や卸売業であれば、
- 商品を仕入れる
- 在庫を抱える
- 売掛金の回収まで時間がかかる
- 買掛金の支払いタイミングとのズレがある
このような事情から、どうしても運転資金が必要になります。
一方で、保険代理店は通常、
- 大きな在庫を持たない
- 仕入れが重くない
- 売上は保険会社からの手数料が中心
という構造です。
つまり、典型的な意味での
「在庫を回すためのお金」
「売掛金が入るまでのつなぎ資金」
が見えにくいんです。
ここがまず、他業種との大きな違いです。
だから、資金繰りが厳しいというよりは、
銀行が普段見慣れている“運転資金の形”と少し違う
と言った方が正確です。
では、なぜ銀行融資で苦戦しやすいのか
ここが本題です。
保険代理店は、構造的には悪い業種ではありません。
むしろ、ストック収入が積み上がるという意味では、かなり強い要素もあります。
それなのに、銀行に融資相談をすると、なぜか感触が鈍い。
なぜでしょうか。
理由はとてもシンプルで、
銀行が「何のためのお金なのか」をかなり重視するからです。
これ銀行目線では最も大切と言っても良い論点です。
銀行は融資の相談を受けると、必ずと言っていいほど次のように考えます。
- 何に使うお金なのか
- その必要性はどこにあるのか
- 返済原資は何か
- そのお金を入れることで、何が良くなるのか
製造業や卸売業なら、話は比較的わかりやすいです。
- 売掛金が増えている
- 在庫が増えている
- 仕入と回収のズレがある
だから運転資金が必要だ、と説明しやすい。
でも保険代理店の場合、社長としては
- 手元資金を厚くしておきたい
- 採用や教育にお金を使いたい
- 余裕資金を持っておきたい
- 将来の投資に備えたい
こういう感覚で融資を考えることが多いと思います。
これは経営者として非常に自然ですし、むしろ正しい感覚です。
ただ、銀行からすると、
「その資金需要は分かるけれど、一般的な運転資金としては説明しづらいですね」
となりやすいんです。
ここで話が少し噛み合わなくなります。
つまり、保険代理店が融資で苦戦しやすい理由は、
業績が悪いからではなく、資金需要の“見せ方”が難しいからなんです。
銀行は、保険代理店のどこを見ているのか
ここからは、元銀行審査官としての実務感覚です。
保険代理店の決算書を見るとき、銀行は売上の大きさだけを見ているわけではありません。
むしろ、売上の中身や、会社の体質を見ています。
特に大事なのは、次の4つです。
1. 収益がストック型になっているか
保険代理店の大きな魅力は、やはりここです。
一度契約を取れば、その後の継続によって更新手数料や継続収入が積み上がっていく。
これがあるからこそ、保険代理店は単発商売ではなく、積み上げ型の事業になりやすいわけです。
銀行も、ここはかなり気にします。
なぜなら、ストック収入がしっかりある会社は、
- 毎月の売上が読みやすい
- 資金繰りが安定しやすい
- 将来の返済原資も見えやすい
からです。
逆に、新規契約に偏りすぎている代理店は、もちろん営業力はあるのですが、銀行から見ると波が大きく映ります。
つまり銀行が好むのは、
「新規も取れている。でも、それ以上に積み上がる土台がある会社」
です。
ここはかなり重要です。
2. 売上が一部の営業に偏っていないか
これは保険代理店特有の論点です。
銀行は、保険代理店を見るとき
「誰が売っているのか」
をかなり気にします。
たとえば、
- 社長一人で売上の大半を作っている
- トップ営業一人に売上が集中している
- その人が抜けたら一気に数字が落ちそう
こういう会社は、決算書の数字が良くても慎重に見られます。
なぜかというと、銀行は
会社そのものの継続性
を見たいからです。
社長やトップ営業の能力が高いこと自体は、もちろん素晴らしいです。
ただ、審査の場面になると、
「その売上は会社の資産なのか、人の個人技なのか」
という見方が入ってきます。
ここが、社長の感覚と銀行の感覚がズレやすいところです。
3. 人件費や歩合が高すぎないか
保険代理店は、製造業のような原価構造ではありません。
その代わり、最大のコストになりやすいのが
人件費、特に営業への還元や歩合
です。
売上が大きくても、
- 歩合が高すぎる
- 営業に払いすぎている
- 会社に利益が残らない
という状態だと、銀行から見る評価は意外と高くなりません。
社長としては
「営業に還元しないと人が定着しない」
という事情もあるでしょうし、それはとてもよく分かります。
ただ、銀行はそこをかなり冷静に見ます。
「売上は立っている。でも、会社に体力が残っていない」
こう見えると、どうしても評価は慎重になります。
4. 利益がちゃんと社内に残っているか
ここも大切です。
保険代理店は、在庫や重たい設備を抱える業種ではありません。
だからこそ銀行は、逆にこう考えます。
「本来、この業種は利益が残りやすいはずでは?」
そのため、
- 利益剰余金があまり積み上がっていない
- 現預金が薄い
- 毎年そこそこ売上はあるのに、内部留保が弱い
という決算書だと、少し引っかかります。
もちろん、事情は色々あります。
- 歩合還元が大きい
- 社長報酬を厚く取っている
- 組織投資を先行している
- 解約や返戻などの影響がある
こうした背景は十分あり得ます。
でも、銀行側はその背景を勝手には理解してくれません。
だからこそ、こちらから説明する必要があります。
保険代理店が銀行に説明しやすい資金使途とは
ここはかなり実務的な話ですが、重要です。
保険代理店が融資相談をするとき、ただ
「運転資金です」
と伝えるだけでは、少し弱いことがあります。
それよりも、
- 「何のための投資なのか」
- 「その資金を入れることで、どう数字が良くなるのか」
ここまで整理して伝えた方が、圧倒的に話が進みやすいです。
たとえば、こんな整理です。
- 営業採用にかかる先行投資
- 教育・育成コスト
- 顧客管理システムの導入
- 店舗改装や出店費用
- 既存顧客のフォロー体制強化
- M&Aや事業譲受に伴う資金
- 管理体制整備や業務効率化投資
こうした資金使途は、銀行にもかなり伝わりやすいです。
要するに、
「ただお金が欲しい」ではなく、
「このお金を入れることで、こういう成果につながる」
と示せるかどうかです。
ここが整理できるだけで、銀行の見え方はかなり変わります。
銀行は、保険代理店をざっくり3つに見ている
これは正式な制度分類ではありませんが、実務上はだいたい次のように頭の中で整理していることが多いです。
訪問営業型
営業の人数、生産性、定着率、更新率が重要です。
良くも悪くも、人の力が数字に直結します。
来店型
こちらは少し小売業に近い見方になります。
立地、家賃、来店数、成約率、店舗別採算などが論点になります。
法人向け・企業内代理店型
既存の顧客基盤やグループ取引が強みですが、特定先への依存が強いと別のリスクも出てきます。
同じ保険代理店でも、銀行の頭の中ではこうした違いがあります。
ここを自社で理解しておくだけでも、銀行との会話はかなり変わります。
保険代理店は「借りにくい業種」ではなく、「説明をミスりやすい業種」
保険代理店は、事業として見ればむしろ魅力があります。
- 在庫がない
- ストック収入がある
- 粗利構造が比較的良い
- 大きな設備を持たなくても成長できる
かなり良いビジネスです。
ただ、その良さが銀行に自然に伝わるかというと、意外とそうでもありません。
銀行は、
- 資金使途
- 必要運転資金
- 返済原資
- 継続性
- 組織性
という言葉で会社を見ています。
つまり、社長の頭の中ではすでに分かっていることを、
銀行が理解しやすい言葉に翻訳して伝える必要がある
わけです。
ここをうまくやれる会社は、同じ決算書でも見え方が変わります。
逆にここを曖昧にしたままだと、数字が悪くなくても感触が鈍くなる。
保険代理店の融資の審査は、そういう世界です。
だからこそ、保険代理店は社外CFOと相性が良い
私は、保険代理店こそ社外CFO(財務顧問)との相性が良い業種だと思っています。
理由はシンプルです。
保険代理店の社長は、本当に忙しいからです。
- 営業
- 採用
- 育成
- 顧客対応
- 保険会社対応
- 組織づくり
これだけでも、十分大変です。
その上で、
- 銀行にどう説明するか
- どの投資を優先するか
- 利益をどう残すか
- 歩合と内部留保のバランスをどう取るか
- 今後の資金調達をどう設計するか
ここまで毎回落ち着いて考えるのは、正直かなり難しいと思います。
でも、この部分を後回しにすると、
- 売上はあるのに現金が残らない
- 銀行からの見え方が弱い
- せっかくの成長機会で資金を活かしきれない
- 将来の出店や採用のタイミングで動きづらい
こうしたもったいない状態になりやすいです。
だからこそ、社長の横で
数字を整理し、銀行に伝わる形に翻訳し、次の一手を一緒に考える役割
が必要になります。
それが、財務顧問や社外CFOの価値だと私は思っています。
元銀行審査官としてお伝えしたいこと
銀行は敵ではありません。
でも、何もしなくても味方になってくれるわけでもありません。
かなり現実的に言えば、銀行は
「わかりやすい会社」
にお金を出しやすいだけです。
逆に言えば、ちゃんと整理して見せれば、保険代理店は本来そこまで不利な業種ではありません。
むしろ、
- ストック収入がある
- 顧客基盤がある
- 組織化の余地がある
- 追加投資が成果につながりやすい
こうした意味では、十分に魅力があります。
問題は、その良さが決算書だけでは伝わりにくいことです。
だからこそ、社長一人の感覚だけで銀行対応をするのではなく、
財務の見せ方を整えるパートナー
を入れる意味があります。
まとめ

保険代理店は、一見すると銀行融資が出にくいように見えることがあります。
でも実際には、業種そのものが弱いわけではありません。
本当のポイントは、
- どんなタイプの代理店なのか
- 収益がストック型かどうか
- 売上が一部の営業に偏っていないか
- 人件費や歩合が高すぎないか
- 利益が社内に残っているか
- 資金使途を銀行に伝わる形で説明できているか
このあたりです。
もし今、
- 銀行に相談しても反応がいまいち
- 利益は出ているのに、なぜか借りにくい
- 採用や出店、システム投資を考えている
- 今後の成長を見据えて、財務の土台を整えたい
そんなお悩みがあるなら、一度しっかり整理してみる価値はあります。
ホンマル株式会社では、元銀行審査官の視点から、
- 銀行に伝わる財務の見せ方
- 資金調達の整理
- 今後の成長を見据えた財務戦略
をサポートしています。
保険代理店のように、
「数字は悪くない。でも銀行との会話が噛み合いにくい」
そんな会社ほど、財務顧問・社外CFOの価値が出やすいと私は考えています。
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- 「今後の採用や投資を見据えて、資金調達の考え方を整理したい」
- 「自社はどのくらい借りられる可能性があるのか、率直に知りたい」
そういった保険代理店の経営者の方は、ぜひ一度ホンマル株式会社までご相談ください。
元銀行審査官の視点で、御社の状況を客観的に整理し、今後の一手を一緒に考えます。
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参考記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
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