
複数の金融機関から融資を受けることはできる?
協調融資のメリット・デメリットまとめ!
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「複数行から融資を受けるって、アリなの?」と思った方へ
- 「A銀行に断られたから、次はB銀行に…」
- 「1つの銀行にまとめて頼まなきゃいけないんじゃ…?」
――そんなふうに思っている中小企業の経営者の方、多いです。
ですが、実際にはそれ、けっこうもったいない思い込みかもしれません。
ここでいう「複数の金融機関から融資を受ける」とは、たとえば以下のようなケースを指します。
🏗️ 複数金融機関からの融資の定義(本記事の前提)
例:工場建設に5億円の設備資金が必要。A銀行から3億円、B銀行・C信金から各1億円ずつを同時に調達。
→ 1つの資金使途に対して、複数行が同時に協力する融資スキームを「協調融資」と呼びます。
このように「ひとつのプロジェクト」に対して、複数の金融機関が足並みを揃えて融資を出すスタイルは、中小企業でも十分可能ですし、実際に当社でも支援しています。
ちなみに、「協調融資」に似た言葉で「シンジケートローン」という用語もありますが、これは幹事銀行(メインの銀行)が主導して他行に声をかけて、契約も一括で管理する大規模案件向けのスキームです。
中小企業の場合は、もう少し柔軟な形で「協調融資」が使われることがほとんどです。
(※シンジケートローンについては別記事で詳しく解説予定です)
- 「複数の銀行から融資」は中小企業でも活用できる現実的な選択肢
- 「1つの資金使途に対して、複数行から同時に融資を受ける」=協調融資
- 融資額の拡大、リスク分散、銀行との関係構築が大きなメリット
- 情報開示や交渉手間など、注意点もある
- 協調融資と「シンジケートローン」は似て非なるもの
- 成功には“順番設計”と“全体設計”がカギ
- 元銀行審査官がプロの視点でアドバイスしています!
YouTubeチャンネル公開しました――
複数の金融機関から融資を受けることはできる?

答えはシンプルに、「できます」。
しかも、中小企業であっても、やり方さえ間違えなければ十分可能です。
先ほどお伝えしたように、協調融資とは、1つの資金使途に対して、複数の銀行から同時に融資を受ける形のこと。
- メインバンク:3億円
- サブバンクA:1億円
- サブバンクB:1億円
みたいなイメージですね。
実際、銀行としても「他行と協調する=リスクを分散できる」ため、社内の稟議も通りやすくなります。
つまり、銀行にとっても“アリ”なスキームなんです。
過去の関連記事:
複数銀行に同時打診して好条件を引き出す!事業性融資の「攻略法」と「失敗回避ポイント」
複数の金融機関から融資を受けるメリット3つ

① 融資額の「総額」が増やせる
これが最大のメリットかもしれません。
たとえば、A銀行からは「うちでは2億円まで」と言われたとしても、他のB銀行やC信金に声をかけることで、必要な3億円・4億円という規模まで調達が可能になるわけです。
銀行はそれぞれ社内で「1社あたりいくらまで貸せるか?」というルール(与信枠)を持っています。
それを超える場合は、「他行と一緒ならOK」となることもよくあります。
② リスク分散ができる
銀行も人も、いつどう変わるかわかりません。
メインバンクに頼り切っていた会社が、担当者の異動で急に冷たくされる…なんて話、実際によくあります。
だからこそ、いくつかの金融機関と並行して関係を作っておくことが大事なんです。
そうすることで、「今後この銀行が難しくなったら、あっちに相談しよう」という選択肢が持てるようになります。
③ 新しい金融機関との入口になる
「うちともぜひお取引したいです」と銀行に言わせるには、いきなり全面取引を持ちかけるのではなく、まずは“部分的な協調融資”から始めるのがコツです。
一部の資金だけでも融資を実行すれば、晴れて“取引開始”。
そこから口座開設や集金口座の移管、経費の引き落としなど、じわじわ関係を作っていけます。
➡️ 関連記事: 【銀行が“通しやすい社長(貸しやすい社長)”の秘密】融資が通る発言・資料・戦略の黄金パターン
複数の金融機関から融資を受けるデメリット2つ

① 手間が2倍、いや3倍になる
正直、これは避けられません。
複数の銀行にお願いする=その分、説明も資料作成も手間が増えるということ。
同じことをA銀行、B銀行、C信金…と何度も説明するのは、なかなか骨が折れます。
また、各銀行の稟議ルールやフォーマットも微妙に違うので、「同じ説明をしているのに、なぜかリアクションが違う…」なんてこともよくあります。
「銀行に合わせるのが仕事じゃないのに…」
そう思う経営者も多いですが、そこはうまく「調整役(当社のような専門家)」を立てるのが得策です。
② 銀行間のバランス取りが難しい
- 「A銀行には言ったけど、B信金にはまだ伝えてない」
- 「どこを“メインで”進めるのがいいか、迷ってる」
こんな場面、融資相談では日常茶飯事です。
複数行が関わる場合、情報の出し方や順番を間違えると、気を悪くする銀行が出てくるんです。
「ウチは後回しなの?」とか、「他にも声かけてるなら今回は遠慮します」なんて言われたら、せっかくの協調融資が白紙に戻ることも。
銀行との関係性って、実は「人間関係」とほとんど同じ。
順番や立て方が、とても大事です。
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参考記事:銀行・信金に決算書を提出するときの注意点7選|資金繰り表・3年計画で“未来”も見せる
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複数の金融機関からの融資事例

▶ ケース①:建設業(年商10億円)
目的:土地・建物+造成資金(総額 約5億円)
- A銀行:土地・建物(担保あり)
- B銀行:造成や設計の資金(担保外)
- C銀行:短期的なつなぎ資金
ポイント
各行に“得意分野”を割り振り、1行で完結できない資金調達を分散で実現。
「最初から3行ありき」で設計したことがスムーズな決裁につながりました。
▶ ケース②:倉庫業(年商8億円)
目的:新倉庫建設+機器導入資金(総額8億円)
- D銀行:長期融資(20年返済)
- E銀行:当座貸越1億円(短期運転資金)
ポイント
物件はD銀行本店寄り、社屋はE銀行本店寄り。地理的な特性も活かして“地元色のある2行”に依頼。
当座貸越は協調融資というより「サブ行との関係強化」の第一歩として活用。
※関連記事:【経営者必見】「事前の一手は、事後の百手に勝る」ーー元銀行員が語る“経営判断の質”を高める思考とは?
数の金融機関から融資を受ける際の最大の注意点

それはズバリ、「融資の全体設計」と「順番設計」です。
つまり、どの銀行に、どのタイミングで、どんな顔をして頼むのか、、、
この「融資ストーリー」を間違えると、すべてがうまくいきません。
具体的には…
- まず1行にメインで話を通し、リード行として承認を取りに行く
- そのあと、他行に「実はA銀行さんにお願いしてまして…」と説明
- 全体の資金計画を、きれいに“役割分担”しておく
- 過剰な情報開示や、逆に隠しすぎにも注意!
このへんのさじ加減は、経験がモノを言います。
※参考記事1:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
※参考記事2: 【税理士とCFOの違い】「顧問税理士に聞いても答えがこない…」——財務戦略の相談先、間違っていませんか?
【まとめ】現在協調融資を検討中なら、まずはお気軽に大口融資調達サポートへご相談ください!

協調融資は、うまく使えば「資金調達のパワープレイ」です。
ですが、使い方を間違えると、かえって面倒になり、「結局1行しか通らなかった…」なんてことも。
だからこそ、融資の設計段階で「誰かに相談する」ことがとても重要です。
しかも、できれば銀行の中身をよく知っている人に。
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