
【本部審査のホンネ】
中古アパート・中古マンションの「融資」
――ノンバンクは遠回り。最初から“プロパー融資”でいこう
こんにちは、ホンマル株式会社の村松です。
私は銀行の本部審査部で、不動産投資案件(中古アパートや中古マンション1棟購入など)の融資を数百件以上審査してきました。
正直に言うと、ネット上にある情報の多くは「営業マン寄り」「投資家寄り」で、“銀行側(審査する側)”の本音はほとんど出ていません。
今日は、その経験からこれだけは伝えたいことをまとめます。
- ノンバンクは基本NG。利用した瞬間に次が不利になる
- プロパー融資を最初から狙うべき
- 銀行とは借りたいときに初めて行くのではなく、日頃からつながりを持つことが大切
ちょっと保守的に聞こえるかもしれませんが、「ノンバンクしか通らない=プロパーが付かない」なら購入は見送りが妥当です。
これは銀行の本部融資審査の現場で何度も見てきた“現実”です。
この記事は約9分で読めます。
- 結論:中古アパート/中古マンションの融資は、最初から“プロパー”狙いが正解。
- 判断基準:ノンバンクしか通らない=その物件は見送りが妥当。中長期的な拡大の道が細くなります。
- 期間の実務:教科書どおりでなくてOK。木造の残耐0年に15年、築10年木造に20年、築30年RCに15年など、状態・修繕・立地・借り手の余力次第で十分現実的。
- 数字の目安:LTV 80%/DSCR 1.2倍(悲観でも1.1倍超)/手元資金は元利6〜12か月+運営費をキープ。
- 通すコツ:銀行との関係づくりが9割? “買う前”から担当者にレンジ(価格帯・期間・自己資金)を共有。
- お手伝い:当社(本部審査経験あり)が銀行目線で「通る設計(スキーム/期間/金利/資料)」まで仕上げます。
関連記事(こちらもぜひ):プロパー融資とは?銀行からの融資の種類とプロパー融資のメリット・デメリットについて!
関連記事(ぜひ):【経営者必見】「事前の一手は、事後の百手に勝る」――元銀行員が語る“経営判断の質”を高める思考とは?
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1. 結論と前提──ノンバンクは遠回り、最初からプロパーを狙う

中古アパート・中古マンション投資で融資の選択肢は大きく2つです。
- ①銀行のプロパー融資
- ②アパートローン(主に個人向け)。
ここにノンバンクという選択肢もありますが、基本は避けるのが得策です。
01|なぜノンバンクがNGなの?(やさしく解説)
- お金が高い:
金利+手数料で実質負担が重く、毎月の返済に余裕がなくなります。 - 次の融資が遠のく:
銀行の審査側は「なぜ銀行で借りなかったの?」と見ます。“通らないからノンバンクに行った”と受け取られやすい。
二棟目・三棟目の壁になります。 - ➡︎ 結論:ノンバンクしか通らない=今回は見送りが、長い目で見て“勝ち筋”。
関連記事: ノンバンクでの資金調達、待った!法人が融資を受ける前に知るべき“落とし穴”と最後の選択肢
02|「保証協会付き」は不動産投資では一般的でないワケ
保証協会は事業資金向けにはとても良い仕組みですが、純粋な賃貸用不動産の購入資金にはフィットしにくいのが実務。
だからこそ「プロパーか、アパートローンか」の二択で考えるのが現実的です。
過去の関連記事:【警告】銀行が“絶対に”聞きたくない社長の言動5選!|銀行審査・注意してください
2. 銀行が見るのはココだけ?LTV/DSCR/期間

実際の審査項目は何十個もありますが、難しく聞こえる言葉は置いておき、特に審査で見ているのはこの3つです。
01|LTV:自己資金の“ちょうどいい”ライン
そもそも「LTV」とは、「Loan to Value(ローン・トゥー・バリュー)」が正式名称で、「総資産有利子負債比率」と訳されます。
不動産投資の場面で使われるLTVは「物件購入に要した借入額÷不動産価格」という方法で算出されます。
- 具体例では
- (例)1億円の不動産に、8000万円の借入金がある場合のLTV
- LTV = 8000万円 ÷ 1億円 = 80%
- 目安:80%(=自己資金は20%ほど)が一般的な目安
- 注意点:頭金を入れすぎて手元資金を枯らすのは逆効果。目安は元利返済6〜12か月分+運営費を手元に残すこと。
- 実際には、LTV90%以上(=つまり自己資金10%以下)でもプロパー融資が通ることもあります。そのあたりのスキーム、方法についてはお問い合わせください。
参考記事: 事業資金の融資を受ける際の金利相場はどのくらい?計算方法についても徹底解説!
02|DSCR:返済にどれだけ余裕があるかの体感指標
「Debt Service Coverage Ratio」の略で、日本語訳は元利金返済カバー率。
借入金や社債などの返済にどの程度余裕があるかを評価する指標です。
不動産の1年間のNOI(純収益)あるいは企業のキャッシュフローが年間の元利金返済額の何倍かを計算します。
1倍を下回ると借入金を返済できない破綻状態にあることを示し、1.2~1.7倍程度が望ましいとされています。
- 計算は「物件の儲け(家賃−経費)÷年間返済」。
- 最低でも1.2倍を狙い、どんなに悪いケース(空室・賃料↓・修繕↑)でも1.1倍は死守。
- ざっくりでOK。「毎月の返済、どれだけ余裕?」を数字で見せるイメージ。
参考記事:【銀行が“通しやすい社長(貸しやすい社長)”の秘密】融資が通る発言・資料・戦略の黄金パターン
03| 返済期間:耐用年数は“現場では”柔軟に見ます
- 教科書どおりの「残耐用年数≧返済期間」だと9割以上の物件が成り立ちません。実務ではもっと柔軟で以下でも取り組み可能なことも。
- 木造・残耐0年 → 15年
- 築10年・木造 → 20年
- 築30年・RC → 15年
- もちろん建物の状態、修繕計画、立地、借り手の余力が前提。ここが整理されていれば、返済期間は想定よりも長期で設定できることがあります。
関連記事:事業融資の返済期間はどうやって決める?正しい決め方や注意点を伝授!
3. プロパーを通すための準備と段取り(関係づくりが9割?)

買付を入れる前から、銀行の担当者と“軽く雑談する”くらいの関係を作っておく。これが一番効きます。
01|物件の選び方(中古アパート/中古マンション共通)
- 場所が正義:駅距離、雇用(工業団地・病院・大学)、将来の供給計画。
- 修繕の“大物”を先回り:屋根・防水・配管など、“来そうな出費”を見積もりで見える化。
- レントロールは“実績ベース”:募集賃料ではなく、今いくら入っているか。
- 法令クリア:検査済証、違反無し。ここ意外と見てます。
02| “自分(会社)の見せ方”:属性づくりの基本
- 法人:自己資本の厚み、既存借入の整理、本業キャッシュフローの安定(3期の推移)。
- 個人:年収・資産・既存借入をスッキリ。
- 共通:手元資金(元利6〜12か月+運営費)を確保しておくと、“余裕がある人”に見える。
参考記事!: 銀行・信金に決算書を提出するときの注意点7選|資金繰り表・3年計画で“未来”も見せる
03|銀行に刺さる資料パッケージ(テンプレ付き)
この5パックを最初にサクッと出せると、面談が“確認作業”に変わります。
①物件パック
- 所在地/築年/構造/現地写真(/検査済証)
②収益パック
- レントロール/実績PL/NOI/DSCR(標準・悲観)/LTV
③修繕パック
- 5〜10年修繕計画(屋根・防水・配管の単価根拠つき)
④資金計画パック
- 購入費・諸費用・修繕費の内訳/手元資金の推移
⑤出口パック
- 10年後の残債/売却想定(収益還元と積算の両面)/賃料アップの余地
参考記事:銀行融資の審査期間はどのくらい? 審査期間の目安や審査期間を短くするためのポイント!
04|銀行との会話は“買う前”から始める(台本サンプル)
最初の面談(物件が無い時)
「価格1.5〜2.5億、自己資金3,000〜5,000万、期間は15〜20年を想定。DSCR1.2は維持します。
物件は検査済証あり・修繕計画付きを基本に探します」
候補が見えたら
「サマリー1〜2枚を先に共有します。NOIとDSCR、10年残債、修繕計画はこのとおり。
手元資金は元利12か月+運営費を確保します」
- NGワード:「フルローンいけますか?」
- OKワード:「DSCR1.2を維持しつつ、期間15年でいける設計です」
参考記事:【警告】銀行が“絶対に”聞きたくない社長の言動5選!|銀行審査・注意してください
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参考記事:他人と比べない経営が強い会社をつくる|“ひたすら自分に集中する”経営者が成功する理由
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4. ケースで学ぶ:通る案件/見送る案件/立て直す案件

01|通る案件(王道)
- 築28年RC・駅徒歩8分、検査済証あり、違反なし。
- 価格2.4億/自己0.5億(LTV79%)/融資1.9億×15年。
- 実績NOI1,900万/年間元利1,550万 → DSCR1.22。
- 5年修繕計画あり。手元現金=元利12か月+運営費。
→ プロパー承認(スムーズ)。
参考記事:注意!悪徳コンサルに惑わされない融資・資金調達コンサル会社の選び方
02|見送る案件(ノンバンクしか出ない)
- 築35年木造・検査済証なし、法令不整合の疑い。
- 実績賃料が募集より1割低い、修繕履歴が薄い。
- 銀行では期間短め・金利高めでしか数字が合わず、ノンバンクのみ可。
→ 購入見送りが妥当(短期的に買えても、次が苦しくなる)。
03|立て直す案件(半年〜1年で再挑戦)
- PM(管理)を入れ替え、空室圧縮と賃料是正でNOI底上げ。
- 大物修繕を前倒しで実行、証跡を整える。
- 再申込で期間15年・DSCR1.2を確保 → プロパー承認。
5. まとめ&チェックリスト+無料の初期診断案内

まとめ(超要点)
- ノンバンクは遠回り。最初からプロパー狙いが拡大の近道。
- ノンバンクしか通らない=見送り。長い目で勝てます。
- 期間は実務的に柔軟(木造0年→15年、築10年木造→20年、築30年RC→15年もあり得る)。
- LTV 80%/DSCR 1.2/手元資金6〜12か月+運営費を設計の柱に。
- 銀行との“関係づくり”は買う前から。小さな情報共有の積み重ねが最強。
かんたんチェックリスト
- 検査済証・法令確認は終わった?
- レントロールは実績ベースで作った?
- 5〜10年修繕計画を数字で示せる?
- DSCR 1.2(悲観でも1.1超)を確保できてる?
- 手元資金(元利6〜12か月+運営費)を残せる?
- 担当者にレンジ(価格・期間・自己資金)を共有済み?
「プロパーで最初の一棟を通したい」
「どの銀行に、どの条件で行けばいい?」
物件サマリー・レントロール・(法人は決算サマリー/個人は属性)をお送りください。本部審査の目線で、
- 狙う銀行/支店
- あり得るスキーム・期間・金利レンジ
- LTV・DSCRの“通る”設計と提出資料の型
を短時間で数字に落としてご提案します。
👇こちらからご相談をどうぞ👇
https://www.honmaru.jp/contact
参考記事:ホンマル株式会社はどんな会社? 銀行融資調達サポートと月額制「社外CFO」の実力を徹底解説
- ✅ 対応地域:全国OK(Zoom・電話対応可能)
- ✅ 推奨の対象企業:年商3億円以上、設立5年以上の中小企業さま(もちろん年商規模が3億円以下でも可能です)
- ✅ 得意分野:運送業・建設業・製造業・卸売業・不動産業 etc.
また、弊社では一緒に働く仲間も募集しています。
銀行員経験のある方は、ぜひ他の記事やYouTube動画もチェックしていただき、ご連絡いただけると嬉しいです。


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