融資取引銀行は何行がよい?メインバンクと複数行取引の考え方

いくつの銀行と融資取引すべきなのか?

「取引銀行は何行くらいがいいのでしょうか」。銀行借入がある会社なら、一度は気になる問いだと思います。

私の考えは、融資取引は原則として2行以上、できれば3〜4行です。ただし、3行なら安心、5行なら多すぎる、という線引きではありません。会社の規模や業種、今後の投資予定によって適切な形は変わります。

見るべきなのは銀行の数そのものよりも、中心になって支えてくれる銀行があり、次の資金需要を相談できる相手がほかにもいるかです。

1行との取引が続いている会社は、何を確認すべきか

創業時に口座を開いた銀行が、そのまま借入先になった。給与振込や支払いを任せている銀行から、必要なときに借りてきた。こうした経緯は自然です。今の銀行が十分に対応してくれているなら、1行取引には説明や管理がしやすいという良さもあります。

気にしたいのは、これまで借りられたことと、次に必要な資金も借りられることは別だという点です。

たとえば新拠点への投資やM&Aで、これまでより大きな資金が必要になった場合。銀行は投資計画や返済の見通しに加え、自行がどこまで融資を担えるかも検討します。長年の付き合いがあっても、希望する金額や条件に必ず応えられるとは限りません。

業績が変わったときも同じです。相談先が1行だけだと、その銀行の判断が難しかった場合に、次の手を考える時間が限られます。だからこそ、資金が必要になる直前ではなく、平時から別の金融機関とも関係をつくっておく意味があります。

では、銀行を増やすほどよいのか

一方で、融資の提案を受けるたびに取引を増やし、借入先が10行近くになっている会社もあります。それが必要な業種や事業の進め方もあります。たとえば案件ごとに資金が必要となる不動産業では、多くの金融機関と付き合うことに合理性があるでしょう。

ただ、理由が曖昧なまま取引先だけ増えると、各行への説明、決算書や試算表の共有、借入残高と返済予定の管理に手間がかかります。金融機関ごとに何を伝えているかがばらばらになれば、会社の将来像も伝わりにくくなります。

さらに、どの銀行が中心になって会社を支えるのか、会社側にも銀行側にも見えていないと、厳しい局面での相談が進みにくいことがあります。「借りられる先が多い」ことと、「いざというときに相談できる先がある」ことは同じではありません。

メインバンクは、借入残高だけで決めない

私が考えるメインバンクは、融資額が大きく、できれば日常の入出金も多く任せている銀行です。ただ、それだけでは足りません。会社が業績や計画を継続して伝え、銀行も自分たちが中心的な取引先だと認識している。双方に「メインバンク」という共通認識があることが大切です。

そのうえで、ほかの2〜3行にも会社の状況を知ってもらう。各行に同じ役割を求める必要はありません。日々の運転資金を相談する銀行、設備投資の構想を話せる銀行など、事業に合わせて関係を考えます。

複数行との関係があれば、成長投資の際にそれぞれの考えや条件を聞けます。案件によっては、金融機関が分担して融資する選択肢もあります。ただし、銀行を増やせば融資が必ず通るわけではありません。会社全体の返済能力は、借入先の数だけ増えるものではないからです。

自社の銀行取引を見直す、最初の一歩

新しい銀行を探す前に、まず現在の取引を一枚に整理してみてください。金融機関ごとの借入残高と返済予定、資金使途、担保・代表者保証の有無、日常の入出金、最後に業績や今後の計画を話した時期を並べます。

その表を見ながら、次の三つを考えます。

  1. 今後1〜2年で、どんな資金が、いつ、どの程度必要になりそうか。
  2. その話を、まずどの銀行に持っていくか。
  3. その銀行が対応しきれない場合、事業を理解したうえで相談に乗ってくれる先はあるか。

答えに詰まるなら、取引銀行の数よりも関係のつくり方を見直す時期かもしれません。まずメインバンクに今後の計画を伝え、どこまで一緒に考えてもらえるか確かめる。そのうえで必要なら、ほかの金融機関にも会社の現状と将来像を共有していく。口座を開くだけでも、取引実績のために不要な借入を増やすだけでも、相談できる関係にはなりません。

よくある質問

今の1行が十分に貸してくれるなら、ほかの銀行は不要ですか?

現在の資金需要を満たしているなら、急いで借入先を増やす必要はありません。ただ、将来の投資や業績変動まで同じ1行で対応できるかは別の話です。まず今後の資金需要を伝え、必要に応じてほかの金融機関とも接点をつくるのがよいでしょう。

口座を持っている銀行も、取引銀行に数えられますか?

口座があることと、融資を相談できる関係があることは分けて考えます。担当者に決算や事業の内容を伝えたことがなければ、大きな資金需要が生じたときは、会社を知ってもらうところから始まります。

何行以上なら多すぎますか?

一律の基準はありません。各行との取引に理由があり、情報共有や返済管理ができていれば、行数が多いこと自体が問題ではありません。反対に、役割が曖昧で管理が追いつかないなら、行数にかかわらず整理が必要です。

まとめ:数より、次の相談先が見えているか

取引銀行は、少なすぎても、多ければ多いほどよいわけでもありません。私なら、明確なメインバンクを持ちながら、原則2行以上、できれば3〜4行との融資取引を一つの目安にします。

その数字より先に考えたいのは、次に資金が必要になったとき、誰にどんな話をするかです。今は借りられている会社ほど、その問いを平時に考えておく価値があります。

銀行との関係を整理する際は、ホンマルの社外CFOサービスでも、借入全体の把握から金融機関との対話まで支援しています。

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この記事を書いた人

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代表取締役|村松 広輝

大手地方銀行に約10年間勤務。営業店で法人融資を経験した後、本部の融資審査部門で累計2,000社超の融資審査に携わる。
現在はホンマル株式会社代表として、大型設備投資、M&A、新規事業などに伴う資金調達から、資金繰り・予実管理・銀行対応などの財務支援までを行っています。
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