はじめての資金繰り表の作り方|無料Excelテンプレート・記入例つきで解説

資金繰り表の作り方|無料Excelテンプレート・記入例つきで解説

こんにちは、ホンマル株式会社の代表・村松です。

私は元銀行の本部審査部門で2,000社以上の融資審査に携わった後、現在は主に中小企業・中堅企業向けに融資調達や財務戦略のサポート、財務顧問(社外CFO)を行っています。


今回のテーマは「資金繰り表」

資金繰り表を作りたいけれど、何から始めればよいか分からない・・・

銀行から提出を求められ、ひな形を探している・・・

そんな経営者や経理担当者の方向けに、簡易版のExcelテンプレートをご用意しました。

使い方と記入例が付いているので、初めての方も、自社の入金・支払い予定を整理するところから始められます。

この記事では、資金繰り表の基本と作り方、入力するときの注意点を解説します。
さらに、作った資金繰り表を借入額や投資の判断にどう使うかも、元銀行本部の融資審査担当者の視点からお伝えします。

先にテンプレートを使ってみたい方はこちら

簡易版Excel・使い方・記入例つきです。お名前とメールアドレスをご入力いただくと、ダウンロード用のリンクをメールでお送りします。

資金繰り表とは?会社のお金の出入りと残高を確認する表

資金繰り表とは、一定期間の入金と支払いを整理し、手元資金がどう変わるかを確認する表です。

これまでのお金の動きをまとめるほか、将来の入出金予定を入れて、資金が不足しそうな時期を把握するためにも使います。

基本の計算は、次のとおりです。

月末の現預金残高=月初の現預金残高+その月の入金-その月の支払い

翌月は、この月末残高を月初残高として引き継ぎます。

今の預金残高が分かっていても、その先に設備代金や納税、賞与などの支払いが控えていれば、使える余裕は変わります。資金繰り表では、そうした支払いと売上代金の入金を並べ、先のお金の見通しを確認します。

試算表・損益計算書との違い

試算表や損益計算書で確認する利益と、資金繰り表で確認する現預金の増減は一致しません。

例えば、今月売上を計上しても、代金が入るのが翌々月なら、今月の預金は増えません。
また、借入金の元金返済は費用になりませんが、返済した分だけ現預金は減ります。

取引利益への反映資金繰り表への反映
掛売上売上を計上した時点で利益の計算に反映代金を回収する月に入金として記載
借入金の元金返済費用にはならない返済する月の支払いとして記載
設備の購入原則、減価償却などを通じて費用に反映実際に代金を支払う月に記載

試算表で業績を見ながら、資金繰り表で支払いを続けられるかを確認する。それぞれを合わせて見ることが大切です。

無料Excelテンプレート「はじめての資金繰り表」の内容

簡易版資金繰り表Excelサンプル

ホンマル株式会社のテンプレートは、資金繰り表を初めて作る方向けの簡易版です。

シート内容
はじめに使い方、入力時の注意点、残高を確認するときの考え方
入力用自社の入金・支払い予定を入力するひな形
記入例架空の会社の数字を使った入力例

まず記入例を見てから、今後3か月分の予定を入力してみてください。

取引が複雑な会社では、取引先別の入出金管理や、日ごとの管理などが別途必要になる場合があります。

今回の表は、月ごとのお金の動きを把握する入口としてご利用ください。

資金繰り表の無料申込フォームへ

資金繰り表の作り方|入力する順番を5つに分けて解説

1.月初の現預金残高を確認する

最初に、作成を始める月の月初残高を確認します。

例えば、11月から作るなら、10月末時点の現金と預金の残高です。口座が複数ある場合は、会社として対象にする口座をそろえて集計します。
自由に使えない預金がある場合は、支払いに使える資金と分けて把握してください。

月の途中で作成する場合も、月初残高には前月末の残高を使い、その月の済んだ入出金と残りの予定を合わせて入力します。

途中時点の預金残高から、その月全体の支払いをもう一度差し引かないよう注意しましょう。

2.入金予定を、実際に入る月へ入力する

売上代金などの入金予定を確認します。請求書や売掛金の一覧、取引先との支払条件を使って、金額と時期を整理してください。

資金繰り表に入れるのは、売上を計上した月ではなく、実際に代金を受け取る月です。

例えば、11月に売上を計上し、入金が翌年1月になる取引なら、1月の入金予定に入れます。クレジットカード決済も、決済会社から口座へ振り込まれる月に記載します。

未確定の受注や回収が遅れている売掛金を、確実に入るお金と同じように扱うと、見通しが楽観的になります。入金の根拠や未確認事項は、メモに残しておきましょう。

3.仕入れ・経費・税金・設備代金などの支払いを入力する

請求書、給与の支払予定、納税予定、設備の契約書などをもとに、支払いを整理します。

毎月の経費だけでなく、次のような支払いも確認してください。

  • 商品・材料の仕入れ、外注費
  • 給与・賞与・役員報酬
  • 社会保険料、家賃、水道光熱費など
  • 法人税・消費税などの納付
  • 設備購入・工事代金

仕入れも、商品を受け取った月ではなく、代金を支払う月に入力します。

今回のテンプレートでは、入金・支払いとも、実際に動く税込総額を円単位で入力します。支払いはプラスの数字で記入し、計算欄で差し引く形式です。

4.借入金の入金・元金返済・利息を入力する

借入金の返済予定表を使って、毎月の元金返済と利息を確認します。

元金と利息の欄を分けている場合は、返済総額をさらに別の欄へ入れないようにしてください。二重計上すると、必要以上に資金が減る見通しになってしまいます。

新たな借入を検討している場合は、まず、その借入がない状態の資金繰りを確認します。そのうえで、借りられた場合の入金と返済を入れて比較すると、必要な金額や条件を考えやすくなります。

まだ承認されていない融資は、確定した入金と分けて扱いましょう。

5.月末残高と、残高が少なくなる理由を確認する

入力後は、各月の月末残高を確認します。

残高がマイナスになる見通しであれば、その前に資金調達や支払条件の相談などの対応が必要です。ただし、プラスなら十分とは限りません。

毎月の支払いに対して残高が薄くないか、入金が遅れても対応できるか、その先に大きな支払いがないかも確認してください。

また、残高が減る理由を見ます。設備代金が一度だけ発生するのか、売上代金の回収が後になるのか、毎月の支払いが入金を上回っているのか。理由によって、検討する対応は変わります。

資金繰り表の記入例|3か月のお金の動きを見る

以下は、計算と見方を説明するための仮の例です。実在する企業の数字ではなく、配布Excel内の記入例とも異なります。

新たな借入は行わない前提で、入金と支払いを並べています。支払合計には、仕入れ・経費・税金・借入金の元金返済などを含みます。

単位:万円

項目1か月目2か月目3か月目
月初の現預金残高1,000700200
入金合計1,5001,5001,500
支払合計1,8002,0001,800
当月の資金増減−300−500−300
月末の現預金残高700200−100

月初に1,000万円あるため、今の残高だけを見れば余裕があるように感じるかもしれません。しかし、予定を並べると、3か月目には100万円不足する見通しです。

このマイナス100万円は、実際に支払える残高ではなく、資金が不足する予測を示しています。

ここで考えたいのは、100万円だけ借りればよいか、ということです。

入金が遅れる可能性や、その後の支払い、会社として残しておきたい手元資金も含めて、必要な金額を検討します。同時に、支払合計が入金を上回る理由も確認します。

資金繰り表は、不足額を計算して終わるものではありません。原因を把握し、いつまでに何をするかを決めるために使います。

資金繰り表で間違えやすい4つのポイント

売上と入金を同じ月に入れてしまう

掛取引では、売上と入金の時期がずれます。請求書を発行しただけで入金に含めず、回収予定日を確認してください。

元金返済や納税、設備代金が抜けている

損益計算書の費用だけを転記すると、元金返済などが抜けることがあります。返済予定表や納税予定、設備代金の支払予定も確認しましょう。

設備代金を支払いに入れたうえで、現金支出を伴わない減価償却費まで重ねて差し引かないようにします。

自社の口座間の移動を、収入・支出に重ねて入れている

会社のA銀行からB銀行へ資金を移しても、会社全体の現預金は増減しません。口座間の振替を集計するときは、会社全体の入金・支払いと重複させないよう注意してください。

月末残高だけで安心してしまう

月末にまとまった入金があっても、その前に給与や仕入れ代金の支払日が来る場合があります。

月次の表で残高が薄くなる月が見つかったら、その月は日付ごとの入出金も確認してください。直近の支払いに不安がある場合は、3か月の月次表を作るだけでなく、日次・週次での確認が必要です。

作った資金繰り表を、銀行への相談にどう使うか

銀行に運転資金を相談する際、「資金が必要です」という説明だけでは、理由や金額の根拠が伝わりにくいことがあります。

資金繰り表があれば、いつ支払いが増え、その後いつ入金されるのかを説明できます。

例えば、大型受注に伴う仕入れ資金であれば、受注内容、仕入れの支払予定、売上代金の入金予定を合わせて整理します。

銀行に伝えたいのは、主に次の内容です。

  • なぜ資金が必要なのか
  • いつまでに、いくら必要なのか
  • どの入金や利益をもとに返済するのか
  • 入金の遅れなどがあった場合、どう対応するのか

表に入れた数字の根拠も大切です。受注書・契約書・請求書など、確認できる資料と合わせて説明します。

資金繰り表を作れば融資が決まるわけではありませんが、会社の状況を具体的に伝える助けになります。

毎月、予定を実績に更新する

月が終わったら、その月の入出金を実績に更新し、計算した月末残高と実際の現預金残高を照合します。

差がある場合は、入出金の抜け、二重計上、時期や金額の違いを確認してください。

翌月以降の予定も見直し、先の月を追加します。大きな受注や設備投資が決まったとき、入金が遅れそうなときも、見通しを更新しましょう。

作成を担当者に任せる場合でも、社長は残高が少なくなる時期や、大きく変わった予定を共有しておくことが大切です。

資金繰り表についてよくある質問

何か月先まで作ればよいですか?

初めて作る場合は、まず今後3か月から始めてみてください。

ただし、大きな設備代金や納税、賞与などがその先にある場合は、その支払いまで含めて確認する必要があります。使い慣れたら6か月先、その先の計画へと広げます。直近の資金が厳しい場合は、日次・週次の表も使います。

テンプレートは無料ですか?

ホンマル株式会社の「はじめての資金繰り表」は無料です。

名前とメールアドレスを入力する申込フォームをご用意しており、入力後にダウンロード用のリンクをメールでお送りします。

ダウンロードした表は、そのまま銀行へ提出できますか?

銀行から指定された様式や必要な期間・項目がある場合は、その指示に合わせてください。

今回のテンプレートは、自社のお金の動きを把握するための簡易版です。提出する場合は、必要な内容がそろっているかを銀行に確認しましょう。

金額が決まっていない項目は、空欄でよいですか?

該当する支払いがない場合と、金額が未確認の場合は分けて考えます。

未確認のまま空欄にすると、支払いがない前提で計算されるため、分かる範囲で見積もり、根拠や確認事項をメモしておきましょう。

まずは3か月分の入金と支払いを並べてみてください

資金繰り表を作ると、今の残高だけでは分かりにくい、先々のお金の動きを確認できます。

残高が少なくなる時期が分かれば、銀行への相談や、投資の時期、支払条件の検討も具体的になります。

これまで作っていなかった方は、記入例を見ながら、まず3か月分を入力してみてください。

簡易版Excel・使い方・記入例つき
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YouTube動画で確認したい方へ

銀行から「借りるだけ借りる」は正解?|「借りませんか?」と言われたら【元銀行審査官】

動画では、自社に必要な借入額を考えるための資金繰り表の使い方や、借りた後の返済条件について解説しています。

この記事を書いた人

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代表取締役|村松 広輝

大手地方銀行に約10年間勤務。営業店で法人融資を経験した後、本部の融資審査部門で累計2,000社超の融資審査に携わる。
現在はホンマル株式会社代表として、大型設備投資、M&A、新規事業などに伴う資金調達から、資金繰り・予実管理・銀行対応などの財務支援までを行っています。
銀行がどこを見て、何を判断しているのか。
銀行側の視点と企業側の実務の両方から、経営者の意思決定に役立つ情報を発信しています。